第四章 コロイド         (74回〜85回)

第四章 コロイド


74回 11月 5日 絵の具は水に溶けてるか(コロイドとは何か)
75回 11月 6日 しょうゆの透析、硫黄コロイド
76回 11月10日 水酸化鉄のコロイド溶液
77回 11月11日 水酸化鉄のコロイド溶液
78回 11月17日 バター作り(コロイドの塩析)
79回 11月18日 マーガリンからせっけんを作る
80回 11月20日 豆腐作り(コロイドの塩析)
81回 11月21日 固形燃料・イクラ
82回 11月25日 塩蔵と糖蔵   <重量%濃度の復習>
83回 11月26日 溶解度曲線の見方
84回 11月27日 海水浴した水着は乾かない<凝固点降下と沸点上昇>
85回 12月 1日 水酸化鉄物語

74回 11月 5日 絵の具は水に溶けてるか(コロイドとは何か)

単元「溶液の浸透圧」

導入: 

 まず、絵の具の溶液を示しました。

「これは絵の具、ビリジアン、どうして日本語で緑ではなくてビリジアンって言うん

だろうね。(といらぬ前振りをしながら)を水に入れた液なんだけどさて、こ

の液でビリジアンは水に溶けているのかな」

ここで「溶解」の定義の復習、ヨウカイはお化けではなく「均一で透明な液」

のこと。

 不均一だったら沈殿しているはずだよね。沈殿だったらろ過できるかも。と

「ろ過」の演示。ここで、ろ過されない。



でもこの絵の具の液は濁っているから溶けているとはいえない。それではこの

液はなにものだろうか。



発展:

 コロイドとは細菌より小さくイオンより大きい物質



「コロイドって何?」

  コロイドの大きさで10−7とか指数であらわされても生徒はよくわから

 ないのでこの画面は飛ばし、コロイドの例に移る。



「コロイドの例」

  コーヒー、オレンジジュース、牛乳など濁っているけどろ過できない液を

  コロイド溶液って言うんだ



「コロイドって何?」

  コロイドはろ紙は通り抜けるけど半透膜は通り抜けない。

  半透膜とはイオンは通り抜けるけどコロイドは通り抜けられない膜のこと

「コロイドの性質」

 「透析」  

   半透膜を利用してコロイド溶液から小さい分子やイオンを取り除くこと

  を透析(とうせきといっても投石ではない)という。



透析は「濃度の高い方から低い方へと起こる」これを浸透、そしてその浸透を

妨げるのに必要な力を浸透圧と説明



浸透の実験として以下の実験を組んだ。

 集気瓶を2本用意し、一方に青色シリカゲル、他方に食塩を入れ、セロハン

で口をふたし、輪ゴムで止める。

 集気瓶を逆さまにし、水の入ったシャーレの上に置く。シリカゲルの方は色

は変わりにくいが食塩の方は食塩がすぐに塗れてきて浸透しているのがわか

る。



 この実験で、食塩を入れた方にもシリカゲルを入れるとそのシリカゲルがす

ぐに赤紫に変わるのでただシリカゲルを入れたものと区別しやすいが、塗れて

しまったシリカゲルは再生できないのが難点で予備実験の段階で没にした。



 浸透圧は濃度が大きいほど、温度が高いほど分子運動が大きくなるため大き

くなると説明(ファントフォッフの式は出さない)

 (ここで、時間が無くなる。青菜に塩とかナメクジに塩の話は出来ない)



反省点

本校にはコンピューター室にWINDOWS95を搭載した機種があるがこのソフトを

動かすと速すぎてしまうのであえてもう廃棄処分となった旧型286マシーン

をつかった。(今度は遅すぎた)

 コンピュータと言うことで生徒は喜ぶが関係のないところに画面を進ませて

しまったり、各班に1台としたため、見えないと言う生徒、6班の班編制に5

台しか用意できなかった手際の悪さが目立ち思うように進まなかった。(何と

か今日6台そろえた)



文化祭が終わったばかりと言うことで生徒も落ち着きがなかったため、クラス

によっては実験をせずに終わってしまったクラスも出た。

 しばらく授業をやっていなかったので間合いを計れなくて大変だった。

 

 今日はコロイドのイントロと言うつもりでよかったのかなとも思いました。



今日の夜に「しょうゆの透析」を仕掛けてきました。方法はプリンカップの底

を取り、セロハンでふたをし、輪ゴムで止め、水の入ったコーヒー瓶(広口の

もの)にいれる。そこにしょうゆを入れそのまま一晩放置です。

 はたして明日の授業までにしょうゆが透析されているのかな??



明日の授業ではまず、

しょうゆの透析の観察・・・食塩のもやもや(シュリーレン現象)を観察

エタノールに溶かした硫黄を水にとかした硫黄コロイドを用いてチンダル現象

をやろうと思います。


テーマは「浸透圧の法則」



 さて今日の授業ですが、今日は授業の時間中にスキー共宿(1月の下旬)の

ときのウェア合わせということで授業が中断されると言うことでいつどこで切

れてもいいような授業にしました。(これって一番私にとって難しい。アドリ

ブが苦手だから)



導入:浸透とは濃い物質があるとそれを薄める方向に進む現象のこと。

「よく濃いやつっているだろ、ここで濃いって言うのは周りが薄いから濃いと

いうんだよ。周りも同じくらい濃かったら濃いって気づかないだろ。」

と言ったら生徒が「そんな濃いやつに囲まれたら嫌だ」と返ってきた。そこ

で、「濃いやつがいたら嫌だろ、そこで周りの薄いやつがこの濃いやつに働き

かけるんだよ。するとその濃いやつが薄まるんだけど同時に周りのやつがその

濃いやつの影響を受けて少し濃くなってしまうのさ。これが浸透!!」

 ここで、濃いやつの例を挙げて説明



発展:

1mol/lの食塩水と1mol/lのブドウ糖水ではどちらがこの薄める力(浸透圧)

が大きいだろう。

「濃いやつは人数が多い方がうっとうしいだろ。つまり影響力が大きいんだ

よ。浸透圧も同じで粒子の数が多いほど大きいんだよ。ところで同じ個数の食

塩とブドウ糖ではどちらが濃いだろう。」

生徒はきょとんとする。それもそのはず今まで、ここで同じと答えて何度もだ

まされているから(6%の乳酸と6%の酢酸、重曹と反応して二酸化炭素を多

く発生するのはどっち???とかやっているから)



ここで、食塩は水溶液ではイオンにわかれていると気づいた生徒、また去年、

生物で浸透圧をやったとき食塩の方が砂糖より浸透圧が大きいことをやりそれ

を覚えていた生徒はピンとくる。



食塩は水溶液では2モル/lになることを説明。図に表す。



食塩とブドウ糖では食塩の方が式量が小さく、さらに電離することから少ない

量で濃い液が作れることを説明。



ここでスキーウェア調整(20分中断)



浸透圧は濃度に比例を説明



「濃いやつって夏とかだと余計、暑苦しいでしょ。イオンもそうなんだよ。あ

つい方が外に影響力が大きいんだよ。つまり浸透圧は温度に比例」



「この温度と言ってもタダの温度じゃないぞ。絶対温度のことさ」



まとめ:

つまり

浸透圧は濃度と絶対温度に比例する(ファントフォッフの式)



ここでチャイムが鳴る。スキーのウェア合わせと言うことでスキーの話をした

り、スキー場では朝、霧がかかっていることがある。この霧もコロイドだとか

説明した。



ところで、教科書にはこの霧のようなコロイドのことを「エーロゾル」という

と書いていますが、このエーロとは「air」のことでしょうか???


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75回 11月 6日 しょうゆの透析、硫黄コロイド


導入:昨日の浸透の復習から

 石鹸水、牛乳、しょうゆなどを例示して、濁って見える物質はろ過できない

が半透膜という膜には通らないコロイドである。浸透現象について説明

 半透膜は透析に使うことを説明(しょうゆの透析の図を板書)



発展:(生徒実験)しょうゆの透析実験

 プリンカップの底を抜いた容器にセロハンを底にかぶせ、輪ゴムで止めたあ

と水を150ml入れた200mlビーカーの中に入れる。

 しょうゆを少量プリンカップの中に入れる。



 浸透の様子を観察する。(ここで授業は30分経過)



「コロイド溶液にはどのような性質があるだろうか」

 ここでチンダル現象の説明



一晩しょうゆを透析させた液を提示する。

 コロイド液とそうでない液にレーザー光をあて、コロイド液には光の道筋が

見えることを見せる(ビデオカメラで拡大しテレビで見せる)



(生徒実験)硫黄のコロイドを作る

 硫黄を少量試験管に取り、エタノール10ml入れて溶かす。しばらく静置後、上澄

み液を1mlピペットで取り新しい試験管に入れ水を10ml加える。

 出来たコロイド溶液にレーザー光線を当ててコロイド溶液の性質を確かめる



ここで45分経過



 しょうゆを浸透させていたビーカーの水に硝酸銀を加え、確かに透析で食塩

が移動したことを確かめる。



後かたづけをし、実験プリントをまとめたところでチャイムが鳴る。



今日の授業を振り返って

 このクラスは昨日の実験は行っていない。このため、生徒の中にセロハンか

らしょうゆは漏れているというのではないかという話があった。

 これは、しょうゆを透析していくとビーカーの中の水がしょうゆの色になっ

て行くからである。さらに本当は見えないはずのこのビーカーの液のチンダル

現象がかすかに見えたといったりこれで本当に透析なのかという感じだった。



 半透膜の内と外では成分が違うと言うことを示したくても、キサントプロテ

インなどのタンパク質検出方ではうまくいかないしこれは生徒に納得行かない

ことが世の中にあるんだと納得してもらうしかないのかな。(そんなんでいい

のでしょうか???)

透析は液を交換しながらやらなくては本当はいけないようだ。


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76回 11月10日 水酸化鉄のコロイド溶液


さて、今日はコロイド3回目の授業と言うことで

 テーマは「コロイド溶液はなぜ沈殿しないのだろう」でやりました。



導入:前回使ったしょうゆの透析でしょうゆの液は放置しておいたらかびが生

えたが透析したコロイドはかびが生えていないというのを見せながら、コロイ

ドの性質の復習をしました。(チンダル現象を覚えていたのは1割ぐらいか

な。コロイド現象と言う答えには困った)



発展:コロイドには正のコロイドと負のコロイドがあることを提示

「ここで同じ電気を持つと言うことは、互いに似た性質なわけさ。人だって自

分とあまりにもよく似ている人がいると思わず反発するだろ。これって近親憎

悪っていうけど。コロイドにも近親憎悪が働いて互いに反発するわけさ。互い

に反発すると集まれないだろ。そうすると徒党をくめないから大きな勢力、つ

まり沈殿するまでには成長しないのさ」

「ではこの反発している電気を持ったコロイドを沈殿させるにはどうしよう」

生徒にきくとすぐに「逆の電気を入れる」と出る。

 そこで、今回は逆の電気でコロイドが沈殿することを使って水酸化鉄(V)

のコロイドは正コロイドか負コロイドか調べよう。



   硫酸マグネシウム水溶液(0.1mol/l)

  硫酸ナトリウム水溶液(0.1mol/l)

  塩化ナトリウム水溶液(0.1mol/l)



のイオン価数を生徒に尋ねたところ誰も答えられなかった。やはり、夏休みを

過ぎるとすべて忘れてしまうらしい。しかしめげずに、硫酸イオンが入ってい

る溶液で沈殿すれば水酸化鉄は正のコロイド、マグネシウムイオンで沈殿すれば負のコ

ロイドと言うことを説明した上で実験に入った。



ここで、今日は二クラスやったのですが方法が異なります

最初のクラス



30%の塩化鉄を準備(これは昨日準備したのだが、ステンレスの薬匙を入れ

ていたため緑色になっていた)



前回、透析に使った透析セットに沸騰している水を入れ、塩化鉄1mlを加えた

ところ瞬時に赤色になり出来た水酸化鉄がセロハン膜を通り抜けないコロイド

であることを確認する。



 水酸化鉄をそれぞれの電解質溶液(2ml)に4mlずつ入れ、変化を見る。

このとき、硫酸イオンがある2本の試験管には濁りが見られたが、せいとには

この濁りをほとんど見抜けなかった。



これは、まだ水酸化鉄が完全に出来ていないためであろうと考え次のクラスで

はこのようにした。



まず30%塩化鉄を調製し直す。



100mlビーカーに蒸留水を入れ沸騰させる。沸騰してきたら塩化鉄を1ml加

え、一煮立ちさせる(ここで反応を完全にする。そして、ここで水酸化鉄のコ

ロイドが大きくなるまではやらない)



前回の透析セットに入れるはずだったが時間があと5分しかないので透析作業

はしないで次に行く。



各電解質溶液とゼラチン+MgSO4の試験管4本に水酸化鉄を4mlづつ入れ

る。こんどはすぐに変化が顕著に現れる。



廃液は前へ回収させ、試験管は洗って返させました。



土日と連休だったせいか今日も生徒は落ち着きませんでした。さんざん電解質の

説明をしたのにも関わらず、生徒はこの変化から水酸化鉄がどの電気を帯びて

いるか予測付かないと言ってきました。反応が確認できないならまだしもこん

なに顕著に現れているにもかかわらずです。つまり授業をきいていないことが

判明しました。さらに、こんかいは実験は実験は6人の生徒しか動いてやって

いませんでした。他の生徒は関係ないことをして遊んでいて、プリントをまと

めるときだけ移すという卑怯なことをしていたのです。これは夜の11時まで

教材研究で学校に残っている私への挑戦と言うことで明日の授業で指導するつ

もりです。



明日は(と言ってももう日付が変わっていますが)疎水コロイド、親水コロイ

ド、保護コロイド、凝析、塩析の語句説明と時間があったら墨流しか、洗顔ク

リームを作ってみようと思います。



また、膨れる卵もセットしておいたので明日見るのが楽しみです。


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77回 11月11日 水酸化鉄のコロイド溶液


今日は昨日の実験の態度が悪かったので、疎水コロイド、凝析、親水コロイ

ド、保護コロイド、塩析の説明をしてから再度実験をやり直させました。



実験態度が悪いというのはいくつかの点でこのままこの調子で実験をしたら事

故につながると言うことでのものです。



1 実験室に移動してくるのが遅い。

   化学室は離れの特別棟1階、教室は4階と言うことで離れてはいるが急

いで移動すれば1分もかからないはず、なのに遅れてきては時間がかかる実験

では心に余裕が無くなって事故につながる。



2 実験室に手ぶらで来る。

   授業はすべてプリントを毎回配布して行っています。

    これは

  1 毎時間、生徒に授業について動機付けさせやすい

  2 毎時間回収することにより評価しやすい

   などの利点がある反面

  1 プリントが整理できず無くす生徒がいる

  2 教科書を使わないと錯覚してしまう。

   など欠点がありました。



  確かに理科はノートをまとめさせる技術も大切だからプリントは作らない

 と言う意見があるかもしれませんが、本校でそれをやると普段はノートをと

 らずさぼりノート提出の時だけ写させてもらうというパターンになりやす

 い。といって毎回ノート提出ではその処理に追われ教材研究が出来なくなっ

 てしまう。そこで、毎回ノートの断片としてのプリントを提出させ、こちら

 の方でまとまった単元ごとにホッチキスでとめて返却すると言う形を取って

 います。まとめて返却すれば休んで何が抜けているか調べるのが容易なはず

 です。この手法は生徒数が一クラス20人前後だから出来るのかもしれませ

 ん。



  このため、生徒はプリントに書けばいいと言うつもりでくるので手ぶらで

くるのです。ここでポイントは手ぶらと言うこと。つまり教科書も持たないと

言うことです。これは、一学期の時、「たのしくわかる化学100時間」あゆ

み出版をもとに授業をし、あまり教科書を使わなかったため生徒は教科書はい

らないんだと勘違いしてしまったのです。このため、テストになると語句暗記

が苦手となり平均点は他の化学担当者と5点も差が出るほどでした。



 そこでわたしはこのようにしました。

まず、従来通りプリントを使う。

 ただし、重要語句や教科書の図で説明が足りないところには教科書に書き込

ませるようにします。(本校の使用教科書はB4版、実教出版の化学1Bで

見開きがちょうど小単元になっているという使いやすい教科書です。しかし説

明が不足しているので、生徒が独学で読むには難しく書いてあります。だから

テスト勉強でプリントを無くした生徒が教科書を見ても意味が分からないので

す)このことで、わたしにとって教科書はよい教材であり、よいノートでもあ

るものとなりました。今度のテストの時は「教科書提出をやろうと思う。」





3 実験を一人にやらせ他の子は遊んでいる。

 実験は多くの視線で見ることにより完成されるもの。一人でやっていたので

はミスが生じてもそのミスには気づきません。そしてそのミスは一人がやった

実験結果をみんなして写す結果、班全体のミスになるおそれがあります。

 また、手際よく作業するにはどうすればよいかと言うことを常に考えてやっ

てほしいと言うことで注意しました。



このクラスはとても素直なクラスだったのでこのわたしの話を聞いてくれまし

た。そして今回はきちんと結果を残すことが出来ました。

 生徒には心から訴えれば通じるんだと思いました。

水酸化鉄の実験は教科書にもある古典実験ですが、いくつかの注意事項を発見

したので報告します。



1.あらかじめ沸騰状態の水を用意する。

   水を沸騰させるというのに5分も時間をとられてしまうのでは時間が

  もったいない



2.塩化鉄は黄色、水酸化鉄は赤だと言うことをはっきりさせる。

   熱湯に塩化鉄を加えると確かに色の変化は起こりますが本当の水酸化鉄

  (コロイド状態の水酸化鉄)ではないような気がします。ですから面倒で

   も沸騰状態の中で塩化鉄を加え、その溶液をしばらく沸騰させ黒ずむま

  で似た方が凝析で顕著に出る。

  また生徒は放って置くと塩化鉄も水酸化鉄も赤色と答えるので注意が必要



3 透析に使う水、水酸化鉄に使う沸騰した水はすべて純水

   水酸化鉄溶液が透析されたかどうかを知る方法として硝酸銀で調べます

  が水道水で実験すると塩素処理された水では硝酸銀で反応します。

   また水洗いをしたビーカーでも反応するので使うビーカーは純水でゆす

  がないといけません。



4 水酸化鉄は塩化物イオンで安定か???

   水酸化鉄の凝析は2価の陰イオンの硫酸イオンで起こるが1価の陽イオ

  ンの塩化物イオンで起こらないとする結果ですが、はじめの水酸化鉄溶液自

  身に塩化物イオンがあるのだからこの結論には疑問が残ります。もしかする

  とはじめから塩化物イオン中ではこのコロイドは凝析しないのではないで

  しょうか。これを確かめるにはきちんと透析をして塩化物イオンガ無いのを

  確認した上で一価の別のイオンを加えて調べる必要があると思います



5 廃液処理

   鉄を含む液は重金属液として回収しましょう。教科書の方法では透析を

  するのに水酸化鉄の溶液は100ml必要ですが、プリンカップ浸透圧装

  置ではその半分以下でも同じ効果の実験が行えます。

   廃液を減らすにはいい方法だと思います。早く、教科書の方にも従来の

  つるすタイプからこのプリンカップ方式が載ればいいなあと思いました。



6 三価の鉄は塩化第二鉄。

   今回30%の塩化鉄の水溶液を作るのに塩化鉄(V)と書いてある試薬

  が無くて困りました。和名では塩化第二鉄というそうです。

   ちなみにこの溶液は30gの塩化鉄を70mlの純水で溶かして作りま

  した。



これらは言われてみれば当たり前ですが思わずミスしてしまう落とし穴だと思

います。


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78回 11月17日 バター作り(コロイドの塩析)


さて今日はテーマは「ゾルとゲル」と言うことで、バターづくりを行ったので報

告します。



方法は「たのしくわかる化学実験事典」東京書籍を参考にさせてもらいまし

た。



 まず、バターの工業的製法から説明をしました。



・普通の牛乳はホモジナイズされているから出来ない。ホモの説明。反対語は

 ヘテロ。

・遠心分離でクリームを作る。遠心分離の説明

・エージングとは脂肪球を大きくさせること

・今日はチャーニングからスタートと告知



続いて、バターの出来る原理について

 脂肪球はコロイドで電荷を持ったタンパク質によりコーティングされてい

る。それがチャーニングという作業を経るとそのタンパク質がはがされ脂肪球

がむき出しになり脂肪球同志が集まることによりバターが出来ると説明



はじめのクリームの状態がゾル、バターがゲルと強調(ここで20分経過)



ここから実際にバターづくりをしてもらう。

乳脂肪分47%のクリーム30ccに同量の氷水を入れ、激しく振る。(15

分ぐらいでバターの黄色い色が出てくる。)

そのあと氷水で水洗いし、ラップに出す。(40分経過)



味見をする。



中性洗剤を使って用具をきれいに洗い後かたづけをして終わり(時間内終了)



授業を終わって

今回の内容は「ただ振るだけ」と言う単純作業だったため割合早く進んだ。

振っている中でゾルがゲルになったことも体感でき他のではないでしょうか。

今回の実験は疲れる作業だったので記憶に残ってくれることを願いたい。

 この実験、別法としてビー玉を入れたり、氷を入れたりして物理的な力を大

きくしてバターを作るというのがあるらしいが、本法が一番成功率が高いのでは

ないかと思う。(氷を入れた方法ではバターが分散してしまい余分な水分を取り

除くことが難しかった。)

 また、あまり長くふっていたり、シェーカーのように振ると容器にバターがこ

びりついてしまうこともわかった。(あとでスプーンで書き出せば問題はな

い)

 今回の授業で特筆すべきは余裕を持って後かたづけが出来たことです。これ

からもこのような授業を目指そうと思います。


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79回 11月18日 マーガリンからせっけんを作る


今日は、先日、クリーム(ゾル)からバター(ゲル)を作った。

と言う実験を受けて同じゲルのマーガリンからゾルの石鹸水を作り、塩析によ

り沈殿させるという実験を行ったので報告します。



導入:昨日の復習から、ゾルからゲルへの変化について確認

発展:油と塩基が反応すると石鹸コロイドが出来ることを説明

   塩析により出来た石鹸を沈殿させ、飽和食塩水で洗うことにより水酸化

   ナトリウムを洗い流すことを説明後、生徒実験に入らせた(20分)



太めの試験管にマーガリン2g、水酸化ナトリウム15粒(4g)、水10ml入

れ、湯浴上で20分反応させる。



分離した石鹸を飽和食塩水で洗う。(ここでチャイムが鳴る)



出来た石鹸が泡立つか見る





授業が終わって

バターの時にも感じたが生徒は「生成物を水で洗う」と言う感覚がなじめないよ

うだった。

プリントに「水で洗う」と書いてあってもそれがどういうことで洗うことで何

が洗い流されるのかがわかっていないようだった。

 そのため、今回、水酸化ナトリウムが残っているぬるぬした石鹸ができあが

りました。

 石鹸は食べられないのであまり生徒には不人気という感じがしました。



 さて、このコロイドの授業に石鹸づくりをしようという試みは、アルカリの

説明をしなくてはいけないと言う本題(コロイド)と話がずれるという危険性

があります。さらにマーガリン石鹸では思うように鹸化が起こらず1時間の授

業で行うには難しいという結論に達しました。そこで今日はまだ石鹸を作って

いないクラスで以下の授業を行ったので報告します。



テーマ「洗顔クリームの仕組み」

このクラスは以前、「やってみようなんでも実験」の「あわぶくぶくセッケン

の科学」を見せてある。



導入:セッケンは油とアルカリが反応することによって出来ると言うことを思

い出させる。



発展:洗顔クリームはステアリン酸という油とホウ砂というアルカリが反応し

て出来る。



 油はロウやシクロヘキサンにとけ、ホウ砂は水に溶ける(物質の溶解の復

習)(15分経過)



(生徒実験)

 1.アメリカンサイズの空き缶の上部を切り取った反応容器に小さめのロウ

  ソク3本を入れ、ホットプレートで融かす。

 2.ロウが融けたら、芯を取り除きシクロヘキサンを25ml、ステアリン

  酸0.3gを加えて、ガラス棒でかき混ぜとかし70度の温度を保つ。

 3.50mlビーカーにホウ砂を0.3gとり、10ml(ビーカー目盛

  り)の熱湯で溶かす。

 4.シクロヘキサン溶液をガラス棒でかき混ぜながら、ホウ砂水を入れる。

 5.乳濁液が出来たらホットプレートからおろし固まるのを待つ。

(40分)

この実験は単純なので早く終わってしまった。時間が足りないのも困るが中途

半端に時間が余るのも困りものです。



一応、このあと手に油性ペンで文字を書いたあと、この洗顔クリームで落とせ

る。と言うのを演示で示しました。(生徒は出来たクリームをさわるのをいや

がっていた。)



後かたづけをして、まとめたところでチャイムが鳴り、終了



生徒の感想から

 この洗顔クリーム、絶対ニキビできそう

 こんな臭いクリームないよ



授業が終わって

 この実験をやっている中、隣の実験室では凝固点降下の実験でアイスクリー

ムを作っていました。(この寒いのに!!)これは、「たのしくわかる化学実

験事典」のものを参考にしたものです。

 こちらは食べられないもので相手は食べられるものと言うことで生徒が隣の

実験室を意識してしまって大変でした。寒いため混乱は無かったのです

が・・・。

 セッケンの原理については塩基の授業に入ってから詳しく行う予定です。



そういえば、凝固点降下の実験でなぜか、20gの砂糖が一番早く凍ったよう

に見えました。なぜでしょう、たぶん、過冷却が関係しているような気がする

のですが・・・。


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80回 11月20日 豆腐作り(コロイドの塩析)


今日は「豆腐づくり」です。これは、「いきいき化学アイデア実験」の三角

豆腐を参考にしました。



導入:豆腐の製造法から

 生徒に豆腐の原料は何かを問いかける。生徒は「マメ」だと答える。しか

し、どうやって作ると聞くと豆を煮て冷やすと固まって出来ると言う答えが

返ってきた。そこで、豆腐の作り方を説明した。



まず、大豆を洗い、水の中に漬けてふやかす。ここで昨夜、漬けておいた大豆

を生徒に見せる。大豆は3倍の大きさになっている。

発問「なぜ水につけると大豆は膨らむのだろうか」

生徒は「水を吸ったから」と答えるが、「なぜ水を吸うのだろうか」と聞くと

「わからない」と答える。

 そこで、大豆のマメはタンパク質のコロイドがあり、大豆の皮は「水は通す

がコロイドを通さない膜」と説明。ここで、さらに、「このような膜のことを

なんと言ったっけ?」と生徒に尋ねる。

「半透膜」と答える。

 ここで、再度「半透膜を通して濃いタンパク質のコロイドの濃度を薄めるた

め水が入り込む現象は何だろうか」と問いかける。

混乱している生徒は「透析」とか「シュリーレン現象」とか答えるが答えは

「浸透」だと強調する。

このふやかしたマメは直接食べることは出来ません。それはマメの中には有害

物質が入っているからです。そこで、その有害物質をなくすためにこのマメを

磨砕したあと(この液を呉という)加熱し、ろ過させて豆乳とおからを作りま

す。



今日はこの豆乳から豆腐を作ると説明する。



発展:豆乳の塩析について説明する。豆乳をゾル、豆腐をゲルの状態だと復習

高野豆腐は豆腐を凍結乾燥させて出来たキセロゲルだと説明。(25分経過)

(重要語句:親水コロイド、塩析、ゾル、ゲル)



今日の操作についての注意

1 清潔に気をつける(今回使う実験器具はすべて新しいもので今後、食品用

  として使う。)

2 温度計でかき混ぜない

3 豆乳を温めるときは泡立てないように箸で切るようにまぜる。

   豆乳の濁りはタンパク質のコロイドである。このコロイドを今回塩析で

   取ろうと思うのだから熱変性やかき混ぜることによる変性を防ぐように

   指導した。

4 にがりを加えたら、しばらくおいたあとおもむろにかき混ぜるとよい

   にがりを入れるタイミングやかきまぜのタイミングをあやまると豆腐が

   固まりにくい

5 ガーゼは4枚重ねがよい

6 よく水を切ったあとで水にさらさないと豆腐がバラバラになる

7 実験自体は15分もあれば終わる。説明が短いと早く終わってしまいます



豆腐を作ったとの液(黄色の液)の味を見る。と言うのがあったのですが生徒

は怖がってなかなかやろうとしません。



出来た豆腐は本物のにがり(豆腐屋さんから分けてもらった)を使ったのでお

いしいものができあがりました。(40分経過)



あとは、豆腐の味とろ液の味を結果で書かせ、

「なぜ温めるときにかき混ぜながら行ったか」

「この実験でゾルとゲルは何か」を考察させました。(45分経過)

後かたづけをさせて(器具類はすべて中性洗剤で洗う)感想を書いたプリント

を提出したところからおわり。(50分チャイムが鳴る)


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81回 11月21日 固形燃料・イクラ ダイドコロ と コロイド


 今月は、いろんな学校行事やら祝日とかで授業がつぶれる日が多く、クラスによっても授業時間数にばらつきが出てきました。

 授業の多いクラスと少ないクラスで2時間差がついてしまいました。こうなってくると授業のネタ作りは大変です。

 今日は授業の多いクラスで以下の授業を行ったので報告します。



テーマ「ゾルとゲル」

 

導入:あっという間に水が固まる「シリカゲル」

 水ガラス30mlに同量の水を入れて希釈した水ガラス溶液を試験管に10mlとる。別の試験管に6N希塩酸を5mlはかりとる。

「ここに二つの液体があります。この二つの液体を合わせるとどうなるでしょう」生徒

「また爆発するんじゃないの!」「沸騰するよ!」「こおる」等いろいろ意見が出る。



そこですかさず、塩酸の入った試験管に水ガラス溶液を入れると白いもやができる。生徒は驚く。



そして、全部入れた後にさらにガラス棒で試験管内を突き刺し反応を完全にさせる。



「ほら、逆さにしても水が出なくなりました。」

とこれをみせると生徒から「片栗粉みたいとかゼリーみたい」とつっこみが入る。

そこで「そう片栗粉もこれとおんなじなんだけど、はじめにあった水はどこへいってし

まったんだろうか」と生徒に聞くと生徒は答えられない。



「ここで沸騰とかしていないのだから水はなくなっていないはずということはこの中にまだあるはずだよね。でも逆さにしても水はでない。これが今日やる大事なものなんだ」

 ここで、流動性のあるものをゾル、流動性のないものをゲルと黒板にかく。

そして、この反応の種明かしをする。



 そして、ゲルは水を閉じこめると板書し、この反応で出来たシリカゲルは乾燥剤として使われることを説明。

 青と赤のシリカゲルを見せ、この色は塩化コバルトによるものということを説明。

しかし、生徒はシリカゲルというものの存在より塩化コバルトの色にひかれてしまったみたいだ。この情景を見ると、いつかシリカを使った実験と塩化コバルトを使った実験とかやろうかと思った。



発展:ここで、今日行う実験の説明

 固形燃料を作ろう

ステアリン酸とメタノールでゲルを作り、少量のホウ砂を加えることにより緑色の固形燃料を作る。



 前回、このクラスは実験の態度について指導したので割合はやく実験が進んだ。



ゲルが出来る瞬間は生徒は喜ぶ。



実験が一段落したところで、人造イクラの説明

生徒の中には人造いくらを知っているものがいた。

「手づくりスライムの実験」さえら書房にあるCMCで人造イクラというのを参考にしたのだがまるいイクラが出来なかった。



人造イクラはアルギン酸ナトリウムの表面が塩析によってゲル状の膜を作ることにより出来るということを説明。ここでチャイムがなる。後片づけをさせて終了。(ほとんどの生徒はこのイクラ作りに関して理解していないようだった。この分野はバイオリアクターに応用されていて、私の専門分野だっただけに残念!!

この実験のため、「おもしろふしぎ食べもの加工」生活環境教育研究会 農文協でネタを仕入れ、本当の食べられる人造イクラも作れるように用意はしていたが、役に立たなかった。)



結局、イクラは作れずじまいでしたが、この授業自体他のクラスより1時間多い為の時間合わせ的なものだったのでつづきをやろうとは思いません。

 それ以前につづきをやるとしたら来週になってしまって生徒は多分今日やったことを忘れているだろうからもう一度はじめから説明しなくてはならなくて難しいです。



 明日は卒業生が後輩のために体験談を語る「先輩からのメッセージ」の為に授業はありません。すこし、のんびり出来そうです。


「ダイドコロとコロイド」


 今日は、「ダイドコロとコロイド」と言うテーマで授業をしたので報告しま

す。



 まず、CCDカメラを使い、牛乳のコロイドを見せ、ブラウン運動の説明



 去年の生徒は「牛乳って生きてるの??」とこちらの思惑通りの反応をした

が今年はなくて少し残念



 つづいて、セッケンが汚れを落とす仕組み(マッチ棒と粘土で説明)



 硬水では塩析が起こって洗浄力が落ちると説明



 ここで、化学1A(実教出版)のやってみようにある「硬水、水道水、純水

に合成洗剤、セッケン」を入れて振った場合、泡立ちはどう違うかを生徒実験

させた。(硬水は2%塩化カルシウム水溶液)

 結果は セッケンの硬水だけ泡立たない結果となった。



 これから、水道水は純水に近い(これを軟水と説明)

   合成洗剤は多くの負の電荷を持ったコロイドである と考察させた。

・・・ここで20%塩化カルシウム水溶液を使うと合成洗剤でも泡立たない。



(35分経過)



つづいて、人造イクラの作り方の説明(アルギン酸ナトリウムがカルシウムイ

オンによって網目構造となりゲル化され表面を覆い、イクラの皮となる)



さらに、イクラカプセルによって酵素を固定化していると言うことを説明



早速、イクラカプセルを作ってみることにした。(40分経過)



CMC洗濯のり10mlに水酸化ナトリウム3粒入れ、ガラス棒でかき混ぜ

る。



そののりを20%塩化カルシウム水に滴下する。



CMCの表面がゲル化しイクラカプセルが出来る。





今日の授業の中で生徒が一番喜んだ一瞬であった。これを授業の半ばに持って

くればよかったと思った。



生徒はこのイクラカプセルを触りたいと言ったが強アルカリを使っているので

さじですくいだしてろ紙の上に置きさじの背でつぶさせるだけにした。

ここで、素手でつぶして感触が楽しめたらよかったのにと思うと、これが水酸

化ナトリウムでなくて他のもので代用できないかどうか検討が必要だと思っ

た。(たとえば重曹とか)



作業の最中にチャイムが鳴ったので授業後に後かたづけをさせる形になった。

ここのところ、時間通り終わっていたので時間が延びて残念だった。

生徒は大きいイクラカプセルを作ろうと一気にCMCを塩化カルシウム水に加

えたが、そのとき「かえるのたまごみたい」と言う感想が出たのは意外だっ

た。これは新たな発見だった。

 隣の実験室ではアイスクリームづくりをしていたが、それにも負けない「か

えるのたまごづくり」はポイント高かったのではないでしょうか。


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82回 11月25日 塩蔵と糖蔵   <重量%濃度の復習>


 来週から期末考査と言うことで今週1週間は復習の週にしました。

生徒が間違いやすい問題をピックアップしながら進めました。



まず、今日は「溶液の濃度の話」から

私のやり方は、すべて比例関係で解くと言うことを強調している(安易に公式

を覚えるのではなく本質を知って欲しいからこうしてます)ので、まず、重量

パーセント濃度の定義を示した。

「溶液1gに溶ける溶質のg数を100倍したもの」

ここで、この重量パーセント濃度を解く問題は3通りしかないと強調!!



1 水180gに食塩20gをとかしたとき微生物の繁殖が抑えられると言

う。この食塩水の重量パーセント濃度はいくらでしょう?



   ここでのポイントは溶液量が180gではないということ(180gは溶

媒の量・・・ここを生徒はよく間違える)

 溶液は 180+20で200gである。

ここで求めたいのは重量パーセント濃度すなわち、溶液1gに溶けている量で

ある。この値をxとおくと、

 1gの200倍の水溶液には このxの200倍の食塩が含まれているはず

である。この200倍の食塩は20gより

 すなわち、 x * 200=20g

  両辺を200で割って x=0.1

ここで重量パーセントはこのxの値を100倍したものだから

 x * 100=10%・・・(答え)



2.10%の食塩水250g作りたい。食塩と水の量はそれぞれいくらか。



ここでのポイントは10%の食塩水と言う題意から

  10割る100=0.1より

 1gの溶液には0.1gの食塩が溶けていると言うことを見抜くこと



そして溶液量250倍には250倍の食塩が含まれていることから、求める食

塩の量をxと置くと 0.1 * 250 = x

 x=25g(食塩)

ここで水の量は (食塩水)−(食塩)=250−25=225g



3.50gの食塩を使って10%の食塩水を作りたい。水と水溶液の量はいく

らか。

 1gの溶液には0.1gの食塩が溶けている。求める水溶液の量をxと置く

と

 x倍の水溶液には0.1 * x 倍の食塩が入っていることから

  0.1 * x = 50

  x=500(g)<水溶液>

水=500−50=450(g)





ここで、食塩や砂糖を使って食品を保存する方法をそれぞれ塩蔵、糖蔵とい

う。(説明)

「同じ重量パーセント濃度の砂糖水と食塩水ではどちらが微生物の繁殖を抑え

られるだろうか」



ここで、モル、モル濃度の復習をして

    食塩の式量(58.5)を計算しやすいように60とし

    砂糖の分子量(342)を計算しやすいように360とした。



そして、瓶にあらかじめ詰めておいた食塩と砂糖、それぞれ360gを見せな

がら、これを水に溶かして1リットルの水溶液を作ったとしたらどうなるかと

発問



食塩は6mol/l、砂糖は1mol/lである。



さらに、食塩は水溶液中ではイオンにわかれるから物質の個数は

12mol/lになる。つまり、おなじ重量パーセントでも食塩の方が多くの物質

が溶けていることになるから、微生物は多く溶けている食塩水では成長が抑え

られると結論づけた。



授業の工夫

 復習に関しては模造紙にあらかじめ書いておいたのを黒板に張り付けまし

た。食塩(塩化ナトリウム)は「授業が生きるときめき実験」のイオンカード

を使いました。


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83回 11月26日 溶解度曲線の見方


今日は「溶解度の復習」

 硝酸カリウムの溶解度曲線(模造紙に大きく書く)を使って、いろいろなこ

とを読みとりました。



まず、溶解度とは「溶媒100gに溶ける溶質量」と前置きして、固体の溶解

度は温度が上昇すると大きくなるとしていくつかの演習問題を考えました。

(今回、固体の溶解度の例外は考えなかった)



1 水100gに硝酸カリウム50g入れた。すべて溶ける最低温度はおよそ

いくらか。



 この問題のポイントは横軸と平行に溶解度50gの直線を引き、溶解度曲線

と交わる時の温度を読みとらせると言うものです。



2 1の水溶液を60度まで熱した。あと何gの硝酸カリウムを溶かすことが

出来るか。



 この問題のポイントは縦軸と平行に温度60度の直線を引き、溶解度曲線と

交わる時の溶解度を読みとらせるというものです。



3 60度の飽和溶液を30度まで冷やした。硝酸カリウムは何g析出する

か。



この問題はこの操作が再結晶と呼ばれると言うことと60度と30度の溶解度

を読みとれるかと言うものです。



4 30度で再結晶として120gの硝酸カリウムを得たい。すべての硝酸カ

リウムが溶けうる最低温度は何度か。



この問題は30度での飽和溶液に溶け込んでいる溶質+120gが溶解度にな

る時の温度を読みとれるかというものです。



このほかに随時、生徒に「このときの水溶液の質量は?」と質問しました。

(溶解度が100より大きい、つまり溶媒量より多いと生徒は溶液量を以前、

性格に答えられなかったから)

 そして、溶解度の利用と言うことで砂糖のシロップの作り方を説明しまし

た。(意外に生徒はシロップの作り方を知らなかった)



また、真夏の炭酸飲料をイメージするよう言ってから、気体の溶解度は温度と

主に減少する。また、ヘンリーの法則を説明して終わりました。



授業終わって

 この程度の内容なら中学生レベルと言われるかもしれません。

 しかし、溶媒量を100gではないものにしてしまったりすると生徒は計算

が出来ませんからこの形にしました。(計算にこだわって、本質を見失って欲

しくないから。)


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84回 11月27日 海水浴した水着は乾かない<凝固点降下と沸点上昇>


テーマ「沸点上昇と凝固点降下」(場所:教室)

導入:「おしっこが服に付いたとき、水がかかったときに比べ乾燥しにくいの

はなぜだろうか」



これは、おしっこにはいろいろな成分が溶けているからだ。と言うわけで本当に

いろいろな成分が溶けていると乾燥しにくいかを以下の方法で確かめてみた。



5%の塩化コバルト水溶液を小さいろ紙2枚に筆で塗る。続いて一方に尿素水

を筆で薄く塗る。2枚のろ紙をホットプレートに置き乾燥させる。



この乾燥に時間がかかるので乾燥をさせている間に、

発展:「乾燥しにくいと言うことは蒸発しにくいと言うことだよね。蒸発しに

くいとは沸騰しにくいことだよね。では本当に何か溶けている液は沸騰させに

くいのだろうか。」

 ここで、60gの食塩の入った瓶と空の瓶を取り出す。ここにポットに入れ

てきた熱湯をそそぎ入れ、エアーフレッシュで空気を抜く。同じ回数だけ空気

を抜くとはじめ空だった方が早く沸騰することから食塩が入ると沸騰しにくく

なるのがわかる。



「よく海水浴とかいくとプールの時と比べて水着がなかなかかわかないで

しょ。あれもこれと同じなんだ。」

ここで乾いてきたろ紙を生徒に見せる。

「これを見ると何もしていない方のろ紙は真っ青になるけど尿素を塗った方は

薄い赤が残っているよね。つまり乾燥しにくいんだよ」



「このように、溶媒に何かを溶かすと蒸発しにくくなることを沸点上昇と言う

んだ。」



「ところで、はんだってなんだ!」

生徒は中学の時の技術で使ってはいるがその正体は知らないらしい。



「ここにはんだの正体の素がある。こちらがすすでこちらがなまりだ。この二

つをあわせたのがはんだだ。ではどういう性質があるだろう。」



とスズ、鉛、半田を融かし、電子温度計で温度を見る。



 スズ 226度

 鉛  330度

で液体になっています。ではこの二つを同じ質量あわせたら何度で融けるだろ

う。と発問



生徒「足して556度」「平均して278度」



はかってみると180度



「このはんだって電機部品を漬けるときに使うでしょ。この部品って熱に弱い

から低い温度で溶ける金属がいいんだ。だからこれが使われているんだ。低い

温度で融ける。逆に言って高い温度から考えると低くしても固まりにくい。

 このように溶媒に何かを入れて固まりにくくなることを凝固点降下っていう

んだ」

「いま、沸点上昇と凝固点降下の話をしたんだけれどこの二つは両方とも溶媒

に何かを溶かすことによって起こることなんだ。さらにこの変化は溶液の濃度

に比例するんだ」



残り時間は寒剤の復習をして終わり


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85回 12月 1日 水酸化鉄物語


 今日は期末試験前の最後の授業と言うことで、テーマは「浸透とコロイド溶

液」を行いました。



 カレンダーの裏の白いところを使って、紙芝居を作ってみました。



作品1「溶液は拡がって」

1枚目「今、ここに不純物の混ざったコロイド溶液がある。このコロイド溶液

をセロハン紙で包んで純水につけたのだった。このとき、このコロイド溶液の

各物質はどう思っているでしょう」

2枚目「コロイドの気持ち:ま・膜がじゃまで通り抜けられない!」

3枚目「不純物の気持ち:へへへ!通り抜けちゃうぞ!」

4枚目「水の気持ち:薄めちゃうぞ」



それぞれにはコロイドの気持ちを吹き出しで書きました。生徒は「

そんなの思うわけないじゃん」と言いつつも喜んでました。



作品2「水酸化鉄ものがたり」

「これはね。月曜9時のドラマ風に作って見たんだ!」



1枚目「あるところに夢見る黄褐色の塩化鉄という少女がいました。」



2枚目「ところがそんな彼女にある日事件が起こりました。それは、いきなり

沸騰水におそわれてしまったのです。」

 塩化鉄「きゃーたすけて」 沸騰水「やっちまえ!!」



3枚目「塩化鉄は裸にされ(塩素原子を奪われ)、沸騰水に変なものまでつけ

られて赤褐色になってしまいました」



4枚目「彼女についたもの。それはOH−と電気でした。夢見る彼女はそれ以

後、水酸化鉄と名乗るようになりました。」



5枚目「彼女はプラスの電気を持っているせいか、それ以後、ナトリウムイオ

ンとかマグネシウムイオンと言った仲間たちのいじめに遭うようになりまし

た。」

6枚目「そんな彼女を支えたのが2人の男でした。それは塩化物イオンと硫酸

イオンでした。」



ここでこの二人の男を巡って三角関係が進んで5話ぐらいあるんだけど今日は

その話まで出来ないからいきなり最終回



7枚目「水酸化鉄は包容力のある硫酸イオンと結ばれて沈殿しました。おわ

り」



生徒「おいおいおわっちゃうのかよ!なんだよこの沈殿って!!!」



すごいはなしだろ。実はこれ視聴率が30%越えたんで続編が出来たんだ



「続・水酸化鉄ものがたり」

1枚目「水酸化鉄にある日のことゼラチンという一人の女の子が現れました。

彼女も同じコロイドで二人は意気投合しました。しかし、ゼラチンは水酸化鉄

をおそった水と仲のいいものだったのでした。水酸化鉄はゼラチンにだまされ

てひどい傷をおってしまいました。」



2枚目「このゼラチンのせいでさすがの硫酸イオンも彼女をなかなか救い出せ

ません」



ここで、彼女と硫酸イオンを巡るストーリーが5話ぐらいあるんだ。

生徒「なんかこの続編 おもしろくない」

そう、続編って結構つまらないかもしれない。

ここでいきなり最終回



3枚目「この硫酸イオンが多く集まり水酸化鉄を救い出し、沈殿させました」



生徒「だから沈殿って何だよ!!」



この沈殿、最初のが疎水コロイドって言って少量の電解質で沈殿するんだ。こ

のようにして沈殿することを凝析って言うんだ。



そしてこの水と仲のいいコロイドっていうのが親水コロイドでこのコロイドの

働きが保護コロイドとこの話の説明をして終わり


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