摩擦力と作用反作用


第56回 摩擦についてを調べる


目的

 摩擦について以下のことを理解させる。

 1・摩擦力は静止しているときは引っ張る力と同じ大きさである

 2・動き出す直前は一番摩擦力が大きくなると言うこと

 3・動いているときの摩擦力は一定である。

 4・接触面積と摩擦力との関係は無関係である。

 5・摩擦力は重量に比例する。

内容

 以下の生徒実験を行った。

 ビデオテープ、たこ糸、バネばかりを使い、ビデオテープをたこ糸のついた

ビデオテープにつけ、引っ張る。このとき、動き出す直前の目盛りと動き出し

たときの目盛りを読みとる。

 つぎに、ビデオを一定の力速さでひいたとき摩擦力はどうなるか観察させ

る。

 ビデオテープの本数や、置き方を変え、重量と接触面積が変わったとき摩擦

力はどのように変わるか調べる。

 以上の実験結果をまとめて、考察する。

結果

 机の状態によるせいか、各班バラバラな結果が出た。

 最大静止摩擦力が動摩擦力より小さかったり、接触面積との間に比例関係が

見られたり、また、動摩擦が一定でなかったりして目的としていることとは違

う結果になってしまった。

 これを目的とする事象にまとめて考察させるには困難であった。

これから、この生徒実験は手法を再考する必要があると考えられる。


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第57回  摩擦との戦い


目的

 1時間目の目的を再確認させる

内容

 8トントラックを引っ張るにはどうすればよいか考える。

     ↓

 足の踏ん張りで決まる→体重で決まる

 最大摩擦力の説明

 動摩擦力の説明

 摩擦の利用について

  利点

   オイラーのベルトの理論

   熱や音を出す→欠点にもなる


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第58回 「摩擦はどうして起こるのか」


目的

 以下の点について理解させる。

  なぜ接触面積と関係ないか

  摩擦波は見かけの接触面ではなく、真の接触面で決まる

  摩擦論には凹凸説と分子業固着説があったこと

  摩擦は分子間力で起こる

内容

 レンガを提示

  発問 

  これを様々な面をしたにして引っ張る。どの面が一番摩擦が多いだろう。

  磨いたガラスとレンガの面ではどちらが摩擦力が大きいか

  実はどれも同じ。

  接触面はでこぼこしているので、実際接触している面は小さい。だから、

  単純に見かけの面積だけで摩擦は決まらない。

 レンガの上に台ガラスを置く。レンガを傾けると30度くらいの角度で台ガ

ラスは動き出す。

 ところが、よく磨いたガラスの上では台ガラスは60度くらいになってよう

やく動いた。

 これは、よく磨いたガラスの方が、接触面が大きいため摩擦が大きくなった

ためだと考える。

 では摩擦はどうして起こるのだろうか。

  読み物を提示(「たのしくわかる物理100時間」上 あゆみ出版から)

  レオナルド・ダ・ビンチが唱えた凹凸説、デザギュリエが唱えた分子凝固

  説について解説

摩擦は分子間力によるものと考えられる。

 紺野美沙子の科学館4月19日放送分から「鉛同士がくっつきあう」を見せ

る。

 表面を水で濡らした台ガラス同士はくっつきあう。

これらは分子間力によるものなんだ。 


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第59回  「カエルが跳ぶ」


ここに、用意したのが「ジャンピングケロちゃん」とよばれる玩具なんだ。

これ、みんな知ってるかな。この空気のポンプを押すと、ケロちゃんの足に空

気が入って足が伸びて飛ぶやつなんだ。

このジャンピングケロちゃんはなぜ跳ぶんだろう。

生徒「空気がはいるから」

そう、空気が入るからなんだけど、これ、空中で足を延ばしたって跳ばないよ

ね。机の上に置くから跳ぶんだ。これはどういうことだろう。

カエルが机に力を加えていると言うことはわかるよね。

でも、力を加えるとこの台車のように加えられたものの方が動くはずだ。しか

し、机は動いていない。これはなぜだろう。

生徒「机は重いから」

そう、重いというか慣性が大きいから動いているように見えないんだよね。

ではなぜ、カエルが動くんだろう。

 カエルは何者かに力を加えられて跳んだと言うことになる。

では何者だろう。

 そう机なんだ。

机がカエルに力を与えているんだ。

このように、

カエルが机に力を加える ことを「作用の力」

机がカエルに力を加える ことを「反作用の力」

というんだ。

では次にこんな場合を考えてみよう。ここに車輪付きの椅子がある。この椅子

にのって私が壁を押したらどうなるだろう。

壁に力を加えたのに私が動いてしまったね。それも力を加えた方向とは反対方

向に。

この大きさは同じなんだけど、向きが逆に働くこのような現象を作用反作用の

法則と言うんだ。

ここで、ビデオテープを今机の上に置いたと考えよう。

ここにかかっている力にはどういうのがあるかな。

まず、ビデオテープの重力があるね。この重力というのは地球がビデオテープ

をひく力のことだね。と言うことは反作用としてビデオテープが地球をひく力

もあるね。次に、ビデオテープが机を押す力、

この力があると言うことは逆に反作用として「机がビデオテープを押す力」と

いうのがあるね。この力を垂直抗力と言うんだ。

これで力をすべて書いた。全部で4つもあるんだ。

ビデオテープを今、横にひいてみよう。すると、机とビデオテープに摩擦力が

生じるんだけど、その摩擦力は、

μ × 垂直抗力であらわされるんだ。そして、この摩擦係数は0から1の間

の値だから、垂直抗力よりは大きくならないんだ。

では、この垂直抗力を考えるこんな実験をしてみよう。

いま、このビデオテープを普通に横にひくと300g重あるんだけど、上向き

に引っ張りながら、摩擦力を測定してみるとどうなるだろう。

上向きだから、一見すると、垂直抗力を加えるように見えるけど、違うんだ。

上向きに引っ張るとビデオが机を押す力は小さくなるね。だから、反作用の机

がビデオを押す力(垂直抗力)は小さくなるんだ。だから、ひくと、摩擦力は

小さくなるんだ。

(終わり)

授業が終わって

垂直抗力の話の導入に作用・反作用の法則を説明しました。

この力は主語と目的語が入れ替わるんだという意味で説明しました。


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第60回 「摩擦係数」


ここにプラスチックの板がある。この上にビデオテープ1巻をのせて、傾ける

とどうなるかな。ある角度で滑っていったね。ではこれをテープ3巻パックに

してみよう。角度は1巻の時と比べるとどうなるかな。

同じだね。この角度を摩擦角と言うんだけど、なぜだろう。

ここで作図

斜面にビデオテープを載せたとき、そこには、下向きの重力がかかっているん

だ。

しかし、実際に滑る方向は斜面の方向だから、この重力は斜面方向の力に分け

られるんだ。だから、斜面方向に点線をひく。

次にビデオテープは斜面を真下に押す力があるからこの力の方向にも点線を引

こう。

力を今、この二つの方向に分けるかとを、「力の分解」と言うんだ。

この力の分解をしてみよう。

これをやるためには、平行四辺形の法則を使うんだ。

ここで、それを使うと、ビデオテープが斜面方向に働く力と斜面を真下に押す

力に重力は分けられるんだ。

ここで、摩擦力を考えよう。摩擦力とこの斜面方向に働く力は同じ大きさで向

きが逆である。

そして、斜面を真下に押す力と斜面がビデオテープを押す力を垂直抗力とする

んだ。

ここで、今までの力に番号をつけよう。

 まず           重力をA

        斜面方向に働く力をB

          斜面を押す力をC

             摩擦力をD

            垂直抗力をE

としよう。

 μ×E = D

        D

   μ =――――――――

        E

ここで、三角形を考えよう。斜面の三角形と三角形ABCは同じ形、相似の関

係にあるから、μは斜面の三角形の辺の比になるんだ。

だから、重さには全く関係ないんだよ。

物体の重さには関係なくこの摩擦係数によって、摩擦というのは決まるんだ。

みんなは、砂で山を作ったことがあるかな。この山、どんなにがんばっても急

な斜面にすることが出来ないんだ。今、砂を上から落として砂山を作るよ。

どうだい。約30度の山になっただろ。

この30度、実は、あの富士山の角度でもあるんだ。山の角度もこの摩擦係数

によって決まってしまうんだ。

では次に摩擦係数を使って計算問題を解いてみよう。

水平な台の上の5kgの物体をひくとき動き出すためにはどのくらいの力が必

要か。静止摩擦係数を0.6とする。

水平な台の上の5kgの物体をひいて動いているとき摩擦力はどのくらいの力

が必要か。動摩擦係数を0.4とする。

静止摩擦係数と動摩擦係数の説明

計算

(終わり)

授業が終わって

平行四辺形の法則を説明するのに時間がかかりました。もう一時間やろうと思

います。

参考文献「たのしくわかる物理100時間」上 あゆみ出版


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