身近な物質を使った時計反応
【目的】 化学反応には瞬時に進む反応とゆっくり進む反応があることを知る。
ヨウ素は 分子のときは,でんぷんと反応し深青色を示すが,イオンのときは無色で反応しない。
【準備】・うがい薬(ヨウ素分子が含まれている),酸化力があり消毒,殺菌に使われる。
・ビタミンC入り清涼飲料水 酸化を防止する作用があり,酸化したものをもとにもどす働きがある。
(500ml中1000mgのビタミンCがはいっているもの)
・オキシドール 酸化力があり,消毒,殺菌に使われる(ヨウ素よりも強いのでヨウ素までも酸化させる)
・0.5%でんぷん溶液 ヨウ素分子と反応して深青色になる
【方法】
実験1 オキシドールの量に対する反応
・めもり付き試験管にビタミンC入り清涼飲料水を試験管目盛りで3mlいれる。
・うがい薬1mlを加える。(うがい薬は色がなくなる)
・0.5%でんぷん溶液を1ml加える。
(ここまでの試験管の目盛りは5mlになる)
・水を加える。(あとでオキシドールを加えて全量を10mlにするため、以下のようにした)
オキシドールの量と反応時間との関係
オキシドールの量(ml) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
反応時間(s) | 127 | 34 | 8 | 瞬時 | 瞬時 |
オキシドールの量が大きいと反応速度が大きくなることがわかる。
実験 2 温度の違いによる反応速度(氷水(8℃)、熱水(46℃)で実験)
オキシドール1mlのとき
温度 | 4 | 48 |
反応時間 | 210 | 81 |
オキシドール2mlのとき
温度 | 8 | 48 |
反応時間 | 10 | 24 |
この結果より、反応速度は温度が大きい方が大きい。
実験 3 ヨウ素液の濃度に対する反応
ビタミンCによるヨウ素の還元作用はヨウ素1mlが限度であるらしい。
そのため、ヨウ素の量をふやすと清涼飲料水も増やさなくては行けない。
そこで、ヨウ素液だけを調節することにした。ヨウ素液を点眼ビンに入れる。
点眼ビンは15滴で1mlに目盛りつき試験管1mlに相当する。
そこで、5滴、10滴、15滴加えたときのそれぞれの反応時間を調べた。
滴下数 | 5 | 10 | 15 |
反応時間(s) | 507 | 402 | 148 |
次に10滴を滴下して温度を変えてみる
反応温度(℃) | 4 | 57 | 80 |
反応速度(s) | 1500 | 862 | 53 |
※反応速度は変化が現れた瞬間の時間である。4℃の試験管がすべて色が変わるまで50分かかった。
【考察】
この実験の検証
清涼飲料水の中にはビタミンC以外の還元物質が含まれており、ビタミンCだけの反応として扱うのには問題がありそうだ。
水を加える段階で果汁が固形物になっている。かなりこれは気になる。
ヨウ素液を入れる量は多すぎると実験が成り立たなくなる(ヨウ素液を入れてから、その色を消すと言う方法で清涼飲料水を加える方がいいかもしれない)
オキシドールの入れ方(勢いよく入れるとかゆっくりいれるとか壁面を伝わらせるとかで結果が異なる)
この時計反応の実験ではオキシドールを入れてから試験管を振ってはいけない。
つまり、オキシドールの拡散速度も反応速度に影響を与える。
実験自体は定量的にはアバウトであるが大まかな結果が出る。
(アバウトであるため、反応時間の再現性はひくい。→同じ時間で反応が出ることはない。3mlのオキシドールで1mlのオキシドールの反応時間よりも長かったときもあった。)
温度によって。高温では液全体から反応が始まり、低温では液の下の部分から始まる。
どこまでを反応の終点とするかの見極めがつきにくい。
私が試行したようにさまざまなテーマで実験が可能であるが生徒実験では、時間を測る器具を班の数だけどう用意するかが問題である。(100円ショップで時計を買う?)
実験の信頼性を高めるために何度も繰り返して実験をする必要性があるが、その分、ヨウ素液の廃液が多く出る。
参考文献:「青少年のための化学の祭典2000実験解説集」p37