植物バイオテクノロジー
平成19年度は農業科目「植物バイオテクノロジー」を行いました。 その授業実践をここに報告します。

■顕微鏡の使い方■

4月11日
今日から授業が始まりました。最初の授業は「植物バイオテクノロジー」という ことで最初の時間は顕微鏡を使っていろんなものを見てみよう。

と言うのをやりました。本校の「生物工学実験室」は、日が入り込まないように 南側に窓はありません。
ひんやりとしている空間です。

しかし、顕微鏡は反射鏡がついているもの。そして、本校には光源もない。
ということで、これでは見えるものも見えない。
ということで、ダイソーで単3電池4個を使うランタン型の光源を用意しました。
これを反射鏡に当てるとよく見えることを確認しました。
そして今日の授業です。まずは顕微鏡のレンズのつけ方からやりました。
レンズをつけ、「これを見てみようか」と言いかけるまえに
生徒が顕微鏡の中に入っていた「顕微鏡の使い方」というカラー刷りの冊子をス テージに置き、上から光源を当てて見はじめました。

「いろんな色があって面白い」

この声が起爆剤となってみんな一斉に見はじめました。赤色で印刷されているテ ントウムシが青、赤、緑などの点でできている。

これはよくライトスコープとかでやっていましたが、光学顕微鏡でやるとまた違 います。
150倍や900倍の倍率でみる。
透過光ではなく反射光でみる。
生徒は自分の持っているものをいろいろ見はじめました。コインとか鍵とか財布 とか磁気カードとか透過光では見られないものを反射光で見ていました。

■プラナリアの再生実験■

4月18日
この実験は、平成11年度から行っている実験です。
今回の実験では次のポイントで実験を行いました。
1 光に対して逃げる性質がある
2 氷で冷やすと動きが鈍る
3 再生能を見る
4 再生には極性がある。

■タンポポの極性実験■

4月25日
今日は、先日採取したタンポポを使ってタンポポの極性を調べるという実験をし ました。 すぐに結果が出ない実験ですが気長に待ちたいと思います。 詳しくはブログにアップしました。 http://gomasan.cocolog-nifty.com/

■カイワレの光屈性■

4月25日
昨日、スーパーで貝割れダイコンを買ってきました。

それを2等分して片方を冷蔵庫にたてて入れておきました。

さらに3等分して、そこから2本取り、根を取り、顕微鏡の箱で作った暗室(小さな光が 入る)のなかに水をさして入れておきました。・・・A

B 一つを水に刺し、立てかけて50cmはなれたところから白熱電球の光 を当てておきました。
C 一つは横に倒して、蛍光灯を上から30cmのところで当たるようにおきました。
D 一つは横に倒して、暗室(光が全く入らない)に入れました。
これを仕掛けておいたのが前日の18時です。そこから電球、蛍光灯を一晩つけておきま した。
結果
Aは光のほうに30度くらい傾いて向いていた。
Bは何本か光のほうに曲がっていました
Cは光が当たるように葉が上に向きになるぐらいになっていました。
Dは変化無し(ぐったりしている感じ)
冷蔵庫に入れておいたものはあまり変化がない。

今日は生徒が実験室に入ったらこの実験が目に入る位置においておきました。

正の光屈性を見せるためです。

そして授業は、
タンポポの極性実験の結果を見てからCをみて、これは商品価値が無くなる。
茎が曲がっているから。だからスーパーなどで貝割れダイコンを売るときに横に 倒して売ってはいけないといわれている(昨日行ったスーパーは横になっていましたが )
Dは貝割れダイコンが呼吸をしてエネルギーを使ってしまったと思われる。
Cはなぜ葉が上を向いているか?
生徒「葉が光を感じている」
そう思うと思って、葉を切った茎だけのもあるがこれも曲がっている。
この後、オーキシンの話から植物ホルモンの話
「オーキシン」・・・頂芽優性、濃度によって働きが異なる
「サイトカイニン」・・細胞分裂
「アブシシン酸」・・休眠に関係
「ジベレリン」・・・種無しぶどう
「エチレン」・・・・老化作用
と簡単に植物ホルモンの働きを簡単に取り上げました。

そして、授業の最後に「歌う生物学ひかり」から「植物ホルモン」をみんなで歌って終 わり 2時間目 「歌う生物学」から「光走性、屈性、傾性」を歌いました。 光に対して生物がいろんな働きをする 動物の場合・・・走性 植物の場合・・・屈性 さて、今日でテスト前最後の授業ということで、これだけはテストまでにやっておきた かった 細胞小器官を軽く触れる。 そして、最後に飛び出す細胞模型(カラー名称付き)を組み立てて終りました 生徒は色塗りからやりたかったらしい・・・色つきは面白さが半減するかな?

■植物の組織の観察■

5月30日
 今日は朝から、MS培地の調整、滅菌水を作ったりしていました。

そんななかの植物バイオテクノロジーの授業です。

今日は最初は簡単にテストを返して、そして植物の組織の説明をしました。

植物の組織といっても維管管を持つ植物の葉の断面と茎の断面の構造の説明です。
これだけで1時間

2時間目は。実際に組織を観察するということで
ムラサキツユクサの気孔の観察、ツバキの葉の断面の観察ということで

ツバキの葉の断面切片を作成するところから始めました。

うまくいく生徒となかなかできない生徒に別れますね。
ミクロトームとか使えば楽でしょうが、それもつかわず、にわとこのずいも使わず やりました。
今日は、ムラサキツユクサの花も用意しておいたのでおしべの毛を使った
原形質流動の観察が時間があったらやろうと思ったのですができませんでした。
(私があまりにものんびりやさんだからかな)

来週は、植物の生殖ということで 花粉管の観察をやろうかと思っています。
 この植物バイオテクノロジーは毎時間、実験実習でかなり準備がハードです。
(農場実習がメインでありますから)

■植物の組織の観察■

6月6日
週に1回しかない植物バイオの時間ということでいろいろ準備をしておきました。

ネギの種子を使った根の先端による細胞分裂の観察のために日曜から播種して準備

ムラサキツユクサを使った花粉管の観察

などです。しかし、なかなかうまくいきません。

結局、ムラサキツユクサの花粉管が見せられたらいいなぁということで シャーレに水を入れて割り箸で橋渡しした簡易湿室のなかで 寒天培地に20%濃度のしょ糖水を入れたものを入れておきました。
すると教科書を見ると濃度が濃すぎる。
ということで授業直線に10%を作り直し、湿室のなかにいれ 今日は重複受精の説明を1時間やりました。
1時間もしたのだから花粉管が発芽したと思い確認したらまだだった。
しかたがないので急遽、ムラサキツユクサの雄蘂の毛の原形質流動に観察実験は切り替 えました。しかし、朝咲いていたムラサキツユクサが1時間授業をしている間にしぼん でいた。
そんなトラブルの中何とか、今回は原形質流動が観察できました。
前回、オオカナダモではあまり観察できなかった生徒もこれはうまくみれたようです。
これでも十分かなというかんじですが、
あきらめきれないのでムラサキツユクサの花粉管の様子
(数個ほど、芽が出そうでした。やはり仕掛けてから100分はかかるようです)
4時間目の授業が終わって、12時45分、自分の中では不完全燃焼
仕方ないと、片付け

そして13時15分、再び花粉管をみるとおもしろいように伸びていた。

悔しかった。

来週に持ち越しか???

■タニシの精子の観察■

6月13日
前回、植物の生殖の話をして生殖細胞をみようと花粉管の観察をして 見事に失敗しましたが、うまくいかないときはとことんうまくいかないものです。

今日は「タニシの精子の観察」というのをやりました。

まずタニシの雄と雌の見分け方をやり、ジャンボタニシという外来生物の話の後 観察です。

タニシは、今年はいつも採集しているところとは違うところです。

2年前に行ったときは茨城県美小玉市(旧小川町)まで取りに行っていたのですが さすがに現在は千葉県を本拠地にしていますのでそこまで行くのもしんどかった。
以前、茨城県旧伊奈町で採集したこともあったがそこにもタニシがいなくなっていたの で 新しい採取地がほしかったのです。
といってもどこの田んぼにもタニシはいません。
探し回り、本埜村の用水路で少数発見し、今日の実験に用いました。

オレンジ色の精巣を見つけ、取り出し、3%食塩水で薄めて検鏡しました。
たくさん精子は見つかりました。しかし、どれも運動していないのです。
食塩水の濃度が高かったかなと思い濃度を変えてもだめでした。

違う個体でみてもだめでした。

結局この時間は「精子はいるけれどもどれも受精能力のないものだね」で終わってしま いました。

(こんなはずではなかったのに・・・動いている精子も見せたかった。・・・・ 残念です。)
採取地?季節?いろいろ考えましたが、以前この時期にこの実験をやったこともあるの で季節は 関係ないと思います。問題は採取地なのかな?

なんかうまくいかないことばかりだぞと最近思う今日この頃です。

■タニシの精子の観察■

6月20日
昨日まで三者面談期間中ということで時間割に私の授業はありませんでした。 久々の授業です。 今回は前回見ることの出来なかったタニシの精子の観察を うまくさせよう ということできのう、違う場所で5個体取ってきました。 食塩水を0.3%用意しました。 そして精巣を取り出そうとした 1匹目・・・・白い卵のうが見えてきたのでメス これではだめだ 2匹目・・・・これも雌 3匹目・・・これも雌 4匹目・・・これもか雌 ということで残った一匹を見ると触角の部分が丸くなっていないので 見るまでもなく雌です。 そんなわけで偶然に取ってきた個体がすべて雌だったというアクシデント そこで急いで、タニシを学校の近くで探しました。布佐高校のすぐソバの用水路 で見つけました。こんどは8固体 そして1個体めでオスを見つけて、今度は運良く(?)動く精子を見つけました。 生徒実験にしようと思いましたが、また雌だらけだと困るのでこれを生徒に見せました 。 そして、授業では精子の数に対して受精能力を持つものが少ない話 をしました。他の精子は受精能力のある精子のサポーター役 このあとVTRで重複受精の復習をやり、 無胚乳種子をみせようと、落ちていたクリを空けたら中がからだった。 木の実は冬の間に食べられてしまうんだねとかいう話をしていたら1時間終わりました 。 実はこの授業の前にシロツメクサの花粉管の実験をやっておいたのです。 それで花粉管はこうやって伸びているよというのを見せた後 次の時間はシロツメクサを分解して花粉を取り出し、花粉管の成長をみるというのを やりました。 実体顕微鏡を見ながら花の分解 そして、寒天培地の上に花粉をばら撒き培養 光学顕微鏡で観察という、これから組織培養とかをやる基本操作の一つです。 (やく培養とかでやりますよね) 分解もなかなか出来ない生徒も多いですが、 寒天培地におしべをそのまま乗せてどうする というのが結構ありました。 花粉管のほうは実験室が高温多湿だったためか5分で伸び始め15分では花粉の2倍 位の長さに伸びていました。 なかなかいい感じでした。 そんなわけで今日の植物バイオテクノロジーの簡単なレポです。 これが総合実習に行ってきます。

■アカムシの唾液染色体の観察■

6月27日
私が、無菌操作で作っているヨモギがカルスになっている今日この頃
(IAAの濃度が濃かったのかなぁ? 0.4ppmなんだけど)

ネタ不足なので教科書の進度に合ってはいませんが 手軽に出来るということでこれを選びました。
今日の「植物バイオテクノロジー」の授業報告です。
「植物」バイオテクノロジーですが、バイオテクノロジーの基本
ということで、「目的とした組織を確実に取り出す練習」
の意味合いを込めて「アカムシの唾液腺染色体の観察」を行ないました。

まず、授業前のイントロ

昨日、みんなと実習をして終わってから17時半ぐらいに学校のすぐ下の 釣具店でアカムシを買ってきた。タッパーを持っていったら ここに入れるのねとサービスしてくれたなどという話から入り
効率よく唾液腺染色体をとる方法として頭から3mmほどをナイフで切り 頭の部分から唾液腺を搾り出すという方法でやった。
昨日何匹もやった。20時近くまでやったがこの方法ではうまくいかない ということで今日は違う方法でやる。
ポイントは体の部分を指でおさえる。そして、頭をピンセットでつかみ引く というもの。

ここでいろんなものが出る。

実体顕微鏡で透明なハート型のものを選ぶ。
そしてそれ以外は取り除く。

そして、酢酸カーミン液をたらして10分待つ。
この待つ時間に新たに挑戦をして見る。

カバーガラスをかけて顕微鏡で150倍で見て見つかったらOKということにしよう。
(高倍率ではピントを合わせるのが難しいし、150倍でもパフの存在など が分かります)
これで1時間かけました。

一発で出来る子もいましたがたいていは何回かやって唾液腺を取り出す 所まで出来ました。

染色してみるところまではなかなか行かなかったのですが、あらかじめ こちらで何枚か作成しておいたのでそれを使いました。
最後に唾液腺染色体はなぜ大きく見えるのか。
この膨らんだ部分は何なのか
というまとめをしました。

今日は短縮授業だったので2時間連続といっても賞味90分授業でしたが 「目的とするものを分ける」という目的は達成されたのではないかと思います。

他の学校ではアカムシに毛嫌いしたり、酢酸カーミンのにおいが嫌だ ということになるのかもしれませんが、園芸科の生徒は意欲的によく 取り組んでくれます。(成功率も高かったです)

■アスパラガスの茎の断面■

7月3日
硬さがやわらかく、容易に入手が出来、手ごろな値段ということで
アスパラガスの茎の断面の観察を行い、単子葉と双子葉の植物の 茎の違いをやりました。
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