第119回 3月18日 黄銅メッキ



導入:「昨日金属の溶け易さについてやったよね。
 それをつかって、これを考えてみよう。
 銅の溶けている(銅イオン)溶液に亜鉛を入れるとどうなるかな」
亜鉛が溶けて、銅が出てくる。

 「では亜鉛の溶けている溶液に銅を入れるとどうなるかな」
今度は変わらない

 「そう変わらないんだ。だから、銅に亜鉛をつけるのには亜鉛を無理矢理溶
  かさなければは行けないんだ。そのとき、実際のメッキ工場とかではシア
  ン化カリウム、そう浴さすペンスに出てくる青酸カリ、においが独特の物
  質なんだけど、ここでこれを使うと危険すぎるので、今日はこれの代わり
  に水酸化ナトリウムを使うんだ。この水酸化ナトリウムの水酸化物イオン
  が無理矢理亜鉛を溶かすのに役立っているんだ。」

「今日はこの亜鉛メッキを屋ってもらいたいと思います。亜鉛メッキされる
と、銅は銀色になるんだ。そして、この銀色になった銅板を今度は火であぶる
とどうなると思う。」
と ブラスバンド部の子に聞いてみる。
生徒「そんなのわからないよ」

「いつも使っているもの、ブラス、そう英語でブラス日本語でしんちゅうとや
ばれる合金が出来るんだ。今日はこのメッキされた銅版としんちゅうメッキさ
れた銅板を一人一個つつくってもらいます。」

生徒実験:方法は#2285 #2289 による。

使った銅板は 1*1cmと小さい銅板、そのため、すぐに亜鉛メッキが出来まし
た。(やはり、メッキは小さい方が成功しやすいようです。)

一人、2枚メッキし、うち一枚を熱して、黄銅メッキにする。
焼きすぎて銅を酸化させてしまって、金色から赤色になってしまった子もいま
したがほとんどの子が早く終わったので、残りの時間は昨日作った金属樹の変
化分を観察させ、後かたづけをさせました。

 前回、金属樹の時、5本の試験管廃液を一喝して集めたため、酢酸鉛から酢
酸が遊離して出てくるというハプニングがあったので、今回はそれぞれの液を
別々に集めました。
 生徒は実験を昨日指定した色で認識しているせいか、「銀廃液」「銅廃液」
「鉛廃液」「亜鉛廃液」と書いたラベルを貼ったペットボトルに集めさせたと
ころ、とまどっていました。
 そこで、そのラベルを「試験管の様を描いた絵」を追加しました。絵を見な
がら次のクラスから廃液を処理する形となります。(ちょっと過保護過ぎかな
あ」

授業が終わって
色が次から次へと変わっていく実験は生徒は喜びます。
今回の実験は、鏡アルカリ液を熱するという危険性を伴う実験でしたが何事も
なく行うことが出来ました。
元に戻る

第120回 3月19日 ニッケルメッキ


導入:ここに銅板とニッケル板が入っている溶液があります。
          ・・・・・・・・
          ・・・・・・・・
        ・・・・    ・・・・
    ・    ・    ・    ・
        ・ニッケル・    ・銅  ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・      ・    ・    ・    ・        ・
・      ・    ・    ・    ・        ・
・  2+  ・・・・    ・・・・        ・
・Cu                                ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この溶液に今、銅イオンが溶けているとします。ところが、
この銅とニッケルは溶けやすさがにているので、ニッケルの上に
銅がつくという反応が起こりにくいんです。
          ・・・・・・・・
          ・・・・・・・・
        ・・・・    ・・・・
    ・電子・    ・ ↑ ・
   陰極 ・ ↓ ・    ・電子・ 陽極
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・    →・    ・    ・    ・        ・
・   ↑ ・    ・    ・    ・        ・
・  2+  ・・・・    ・・・・        ・
・Cu                                ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ではどうしましょう。
そこでニッケル板に無理矢理電子を送り込んで、その電子の力で、
ニッケル板に銅イオンを吸いつけようと思います。
そうすると、銅イオンがニッケル板に引かれて銅がニッケルの所に
くっつきメッキされます。(演示実験 ビデオカメラで大きくテレビに写す)
 このとき、電子を送り込む方を 陰極と言います。
そして、これニッケル板と銅板はつながっているよね。ニッケル板が電子を送
り込むということは、銅板の方では電子が出ていっているんだ。この電子が出
ていく方を陽極と言うんだ。
では、今度は銅の方に電子を送り込んだらどうなるだろうか。
          ・・・・・・・・
          ・・・・・・・・
        ・・・・    ・・・・
    ・ ↑ ・    ・電子・
   陽極 ・電子・    ・ ↓ ・陰極
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・      ・    ・    ・    ・        ・
・      ・    ・    ・    ・ ←     ・
・  2+  ・・・・    ・・・・   ↑   ・
・Cu      →   →  →  →     ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今度は 陰極と陽極が逆になるね。
さらに銅イオンの動きを見ると、銅板の方の電子に引かれて、ニッケル板につ
いていた銅さえも銅板に移ってしますんだ。このように、金属を出したいときZ
は陰極に注目するんだよ。
銅板の銅が厚くなってきて、さて、ニッケル板の方はと言うと盛んに泡が出
ています。これは酸素なんだ。水の中のわずかな水酸化物イオンがニッケル板
で酸素になるんだ。
発展:では、この水溶液にニッケルが溶けていて、銅板の方に電子をながしこ
んで言ったらどうなるだろうか。
生徒「銅板が陰極になって、ニッケルが表面につく」
そうかな。では実際にやってみよう。(20分経過)
今日は、銅板を少し加工してみてみよう。
まず、銅板を好きな形に金切りばさみで切るんだ。
そして、その表面に書きたい人は油性マジックで文字を書いてね。書いたとこ
ろはメッキされないので銅の赤い字が出来るよ。
これを塩酸の中にいれて、さびを落とすんだ。これは黄銅メッキと同じだね。
そして、塩酸から出したら水で洗って、ニッケル板がついている極板掛けに掛
けて、メッキ浴に入れる。このとき、銅板はメッキ浴にすっぽり入るようにし
てね。ニッケル板は外に出てもいいけど。
 メッキさせたい方を陰極、つまり、マイナスにつなぐのだからゼネコンの白
い端子に銅板の方をつけ逆の端子をニッケル板につける。
そして、ゼネコンを時計回りに回すんだ。5分も回すとメッキが完成されるん
だけど、1分間に60回転の割合で回すんだよ。これで説明は終わりだ。では
実際に実験に入ってみよう。(5分経過)のこり35分
生徒実験:金属板の加工は5分ぐらいで出来るものにさせました。

 そして、メッキ、メッキはゼネコンの端子が逆でニッケル板にニッケルを析
出させたところもあったがたいていは3分ぐらいで鍍金が完成しました。
完成したらゼネコンの線をとり、ニッケル鍍金された板を水洗いして完成させ
ました。
前処理を簡便にしたため、出来たニッケル鍍金に指紋とかがくっきり残る子
も・・
鍍金前にマジックで書いた子ではエタノールを使い、字を消させました。

この実験は時間が少し超過する班もありましたが、ひとりが出来るとみんな完
成させてやるという雰囲気が伝わってきてよかったです。まさに「授業でいき
るときめき実験」のフレーズ通りでした。
まとめ:
鍍金液は全て、再利用という形で回収しました。
塩酸も再利用塩酸で回収しました。
できた作品をプリントに張り付けて提出
授業が終わって
はじめに硫酸銅を使って、電気鍍金の仕組みを説明したのですが、もう生徒は
春やすみ状態で心ここにあらずというかんじでした。

そこで、鍍金液は有毒だから取り扱いに注意しろ
鍍金液は回収するので流しに流さない
ゼネコンの回転はゆっくり規則的にやること
を注意としてあげて実験させました。
「メッキの最中に陽極からは塩素、陰極からは水素が発生するから回転はゆっ
くりやれと言ったのがよかったのでしょう」
ゼネコンは速く回転させると壊れやすいのですが、どれも壊れなくてよかった
です。
異臭を感じた生徒は何人かいましたがそれほど大事にはいたりませんでした。

これで、溶融メッキと電気メッキの二つのメッキをやったことになります。
生徒の感想の多くに「手が疲れた」とありました。

メッキの最中にメッキ浴から極板を出すと急にゼネコンの負荷が軽くなること
からゼネコンで電子を送り込んでニッケルイオンをすいよせてメッキしている
んだなぁということが体感できたと思います。(生徒はこの反応を文章で表現
は出来そうも無いけど)
ゼネコンを回した分、メッキが出来る。自分の仕事がそのまま成果につながる
という実験はいいものです。
 生徒は次第に色が変わっていく銅板を見ながら「不思議だな」と言っていま
した。
ここで、メッキ液の製法について
 前任者が残してくれたデータと鍍金液があり、実験を行うことが出来まし
た。
硫酸ニッケル 15g/100mlを3本(完全に溶かす)
ほう酸    1.5g/100mlを3本(完全に溶かす)
  →リン酸と書いてある表記は間違いらしい。(燐酸は液体だからはかれな
い)
塩化アンモニウム1.5g/100mlを3本(完全にとかす)
これらを混合し、900mlの鍍金液として褐色試薬瓶(1リットル)に保存
混合液は緑色透明のきれいな色である。(あの輝くニッケルがあるとは思えな
い)
前任者の方法ではガラス棒に銅線で螺旋に巻いて極板掛けを作ったらしい。解
いてしまって今は極板のみ残る。
わたしは、それを、安定性のことを考えて割り箸の1本(1膳の半分)を使
い、ニッケル板の方の電極に分かりやすいように赤のマジックで印をつけた。
実験前に準備したもの
 ニッケル板をつけた電極掛け


(これが結構長さを調節したりするので生徒が調整するのは大変なので用意し
て置いた方がよい)
100mlビーカー(この液に鍍金液を100ml入れる)
 銅板(3cm×3cmで切って角に一つ導線が入るくらいの穴を開ける)
 
マジック、エタノール、金属ばさみ、金属やすり
 ゼネコン(上が赤、下が黒)
6mol/lの塩酸、シャーレ(シャーレに塩酸を入れてさびおとしに用いた)
 ピンセット

ニッケルと銅を逆にしてゼネコンを回すと、ニッケル板にニッケルがニッケル
樹と言ってもいいように枝状につきます。これから、電極を逆にして銅に鍍金
をしようとしてもなかなか鍍金はされないと言うことが分かりました。多分、
ニッケル万丈に析出したニッケルが原因だと思われます。ですからそのニッケ
ルをとって実験を再開させたところうまくいきました。

今回はゼネコンの回転に時間がかかるということで3人で一班という特別編成
で行いました。
元に戻る

第121回 3月20日 鉛蓄電池


導入:みんなの周りには電池がいっぱいあるよね。
   ウォークマンに使われる電池とかPHSに使われる電池とか・・・
この電池中味はどうなっているんだろう。
 乾電池ってあるよね。乾電池の乾って乾くていう字だけど中は乾いてないん
だよ、液漏れと化させた人は分かると思うけど中はぬれているんだ。
発展:
実は、電池は3つの要素によって決まります
一つは溶けやすい物質が入っていること
二つは溶けにくい物質が入っていること
三つはその二つをつなぐ電解質溶液があること

なんだ。全ての電池はたったこれだけの要素を持ち合わせているだけなんだ
よ。
先週のサイエンスアイでも出てきたけど電池って単純なんだ。

この3つの要素のうち、一つ目の「溶けやすい物質」これがくせ者なんだ。
こいつがとけてしまって、もうどっかに行ってしまってしまうと電池は使えな
くなるだろ。こうした電池は使い捨てになってしまうんだ。こういう電池を一
次電池っていうんだ。(一次で使えない奴なんて受験で言ったら嫌なたとえ
だ)

しかし、PHSとかに使われている電池って何度でも充電や放電が出来るだ
ろ。
こういう封に繰り返しの聞く奴を二次電池っていうんだ。

今日はその二次電池の中でも鉛を使った電池で電池を極めてみよう


まず、装置の組立かただ。鉛板と網戸用の網を用意する。

これを鉛・網・鉛・網の順に重ねる。サンドイッチにする


そしてこれを、鉛を表にしてゆるめにまく。このとき、極板が接触しないよ
うにさせるのがポイントだな。
一方、100mlビーカーに2mol/lの硫酸を100ml入れる。このとき硫酸は無色であ
ることを確認してくれ。

そこに筒状の電極を入れて、外側の電極が陽極、内側の電極が陰極になるよう
に外側が赤、内側が黒のゼネコンの端子をつなぐ。
これで、装置は完成

ゼネコンを時計回りに1分、2分、3分・・・と回し、すばやくゼネコンを取
り外し、豆電球(1.5V)をつないでどのくらい光るか調べて欲しい。
生徒実験:
 ゼネコンをゆっくり回すように指導したのですが、豆電球がすぐ消えてしま
うことに対抗しようと早く回す班が続出しました。

 おまけにゼネコンを並列につないでみんなで一斉に回す班も現れました。し
かし、並列では多く蓄電されないようでした。

この電池ははじめは「ブランテ電池」なので水素が発生してしまうのですが、
長くやっていると、陽極に酸化鉛が出来て完全な鉛蓄電池が出来ました。

 ブランテ電池と鉛蓄電池とでは充電する力が違うこと、回転数とかに豆電球
の点灯時間が関係ないことなどが確かめられました。

実験が終了して、極板の一方が酸化鉛で黒くなっていること、硫酸か硫酸鉛で
白く濁っていることを確認させました。

これで二学期最後の授業になりました。まだ、酸化還元も標準電極電位や滴
定、ボルタ電池、ダニエル電池、無機化合物の各論、有機化合物など多くのこ
とを遣らないうちに終わってしまいました。


今日一クラスだけ時間数の多いクラスはこれと言って何もしなかったのでそれ
も悔い残ります。
 元に戻る

inserted by FC2 system