筑波山の周りの自然を訪ねて

予告!! プールの下に隠された歴史

その1 石は歴史を語る

  石岡駅から真壁の街に抜ける県道7号線を4km行ったところに,「常陸の国風土記の丘」があります。ここでは,常陸国分寺のための瓦工房の跡である「鹿の子遺跡」を復元したものが見られます。

国分寺ができたのは奈良時代です。では奈良時代より前のこの付近はどうなっていたのでしょう?

  あまり知られていませんが,常陸の国の風土記周辺には古墳群があります。古墳とは古墳時代の豪族のお墓です。

お墓と言えば,遺体を埋葬するための石棺が必要となります,この石棺の材料の石はどうやって手に入れたのでしょう。

 すぐに思いつくのが,隣町の真壁は「御影石」,つまり花崗岩の産地だから,それを使ったのでは?と考えられます。

しかし,花崗岩で石棺を作るのは難しいのです。

難しい要因

  花崗岩は深成岩であり,硬度が大きい。結晶が大きいのでその結晶に沿って割れてしまったりするので自由に加工ができない。

 (つまり固いんです。固いと言うことは丈夫でいいかもしれませんが,加工がしづらい!!)

 また,この地域ははんれい岩も産出しますが,はんれい岩はもっと加工しづらい!!筑波山の山頂付近ははんれい岩でできています。はんれい岩は風化しづらかったから山として残ったと言われています。

ではどういう石がいいのでしょう。

それは堆積岩由来のもの,堆積岩は一度,火成岩(花崗岩など)が細かくなって堆積して出来たものだから柔らかい。しかし,加工するには柔らかすぎる。ではどうするか。そこで登場するのが,「変成岩」です。

この地域は,隆起が起こったときに堆積岩に変成作用を与えた変成岩が多く産出します。一度粉々になったものが集まって出来た岩にさらに変成作用がかかっている石だから,固い。

しかも,この変成岩の特徴は,一方向に力を加えると割れる。それも薄片になるという,「劈開(へきかい)」という性質を持っています。

 つまり,変成岩は加工しやすい石なのです!!!

☆彡変成岩には大理石(堆積岩のときの名前は石灰岩)とかもあります。

ではここでは,どんな石が取れるのでしょう。

 それが「粘板岩」なのです。

 粘板岩は石棺を作るのにもってこいの石だったのです。そして,薄く割れる,しかも黒雲母を多く含むこの石は石器としても使われたそうです。

現在,粘板岩を使って何かものを作ると言うことは無いかもしれません。しかし,古代の人にとっては重要な資源だったのです。

 さて,ここまで来るとその粘板岩がどういうものか見たくなります。実は,古墳時代から1500年の歴史を越えて今もなおその姿を見せる岩があります。

 常陸の国風土記の丘から100mほど石岡寄りに離れたところに,車1台しか通れないような細い道があります。その道を進むと

「波付岩キャンプ場」があるます。そのキャンプ場のはずれに「波付岩」があります。いまは周りを草で覆われなかなか見ることが出来ませんが,所々のぞかせる岩肌はまさしく「粘板岩」そのものです。変成作用を受けているので波を付けたような岩です。

  波付岩 とはいいネーミングです。

「国やぶれて山河あり」という言葉があります。いまやここを豪族が支配していたと言うことは遺跡でしか見られませんが,ここにノコされた岩がその歴史を語りかけているようです。

(注意)貴重な 歴史的財産なので傷を付けることはやめましょう。

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